DETAIL

udf2004-08-25

「神は細部に宿る」かどうかは分からないが、良質の建築にとって「DETAIL」はきわめて重要なことは、異論の余地の無いところ。法規制と絡んだDETAILについて、少しまとめておく。
今回も、d-projectから。防火規制のかかった地域での外壁について。具体的には準防火地域での延焼の恐れのある部分の外壁。
一般的な木造の2階建てとした場合は別途、e-projectの時に整理するとして、今回のものはRCの3階建てで、一応耐火構造となっている。問題は外断熱で外壁をダブルスキンにしていて、その外側の問題。
断熱として型枠兼用のコンパネと発泡スチロールの複合板を打ち込んでいる。これは内部結露を防ぐこととコストを抑えることにある。内断熱用の桟木を組み込んだ複合板も検討したが、実績が良く分からないことも有り、従来どおりの複合板打ち込みとしている。
勿論、この複合板は不燃材ではないし、このまま仕上げになるわけではない。そこでこの外側に今回は3種類の異なる仕上げを行った。
決定要素は、前にも書いたが、コストとメンテナンス性。メンテナンスからすると、アルミやステンレスあるいはサビナシルーフという亜鉛合金板(http://www.e-katayama.com/p03_01.html)等々いろいろあるが、やはりガルバリゥム鋼板(http://www.hanwa-steel.com/catalog/daido/goods.html注:たまたま大同鋼板のサイト、他の鋼板メーカーでも説明はあると思う)が良いように思う。
ガルバリュムは商品名だと思う、一般名は「アルミ亜鉛メッキ鋼板」で要するに、アルミと亜鉛の合金をメッキしたもの。もともとは電気製品、例えばトースターの内部とかに使われていたものを、その耐久性を評価して建築材料として使うようになったもの、と言われている。
日本の住宅で本格的にガルバリュウム鋼板を使って、デザイン的にも良いのではないかと思われるものは、記憶するところでは、黒川哲郎氏の山本邸(1985年)ではないだろうか。屋根外壁をガルバリュウムの平葺きで統一している。
ガルバリュウムの平葺きの欠点は、ハゼ部分が少し盛り上がるので、そこに汚れがたまり全体的に埃をかぶったような印象になる点。盛り上がりを防ぐために、ハゼを潰しすぎると、毛細管現象で止水性が低下するので避けなければならない。
現場で板金職人さんに、「このぐらいの感じでいいですか?」と聞かれて、ウム!と思ったことがあるが、確かにあまり潰さないのもそれはそれで、風に巻き込まれた雨水が入りそうで不安にはなる。かといって今時二重ハゼなんてやるわけも無いので、「まあ、いいんじゃないですかね」が答え。潰すバランスは難しい。
この現場で使ったのは、角波板(これもいろいろあるが)と平葺き、それにセメント系サイディング。 角波板はそのものに凹凸があるので、そんままでも多少通気の役割はになっている。

ここで問題になるのが耐火構造の定義。建設省告示第1399号の第1項壁の構造、第一号のイによると、10cm以上の鉄筋コンクリート造、となっているので(耐力壁である外壁についても同じとして:第四号)RCで壁構造なら問題なくクリアーする。そこで、その外側に仕上げをした場合はどうかと言うことになる。
行政庁の指導はここいらあたりから曖昧になってくる。まず木製の外壁はだめと言うことははっきりしているが(何故かは分からない、まあ、燃えてしまってはまずいと言うごく当たり前の理由と思われる)、ガルバリュウム鋼板の下地は木で良いというもの。屋根は不燃材で葺けばよいので、下地がコンパネでも良いのと同じ理屈だ。しかしチョット考えると、住宅で屋根や外壁に使うガルバリュウムは、一般的に0.35〜0.40mm程度の厚さなので、防火構造の外壁は下地に準不燃以上の石膏ボードなどを要求している。
これは火災で加熱された場合、鉄板だけでは遮熱出来ないからであると思われる。とすると火災で止めてある釘が加熱して鉄板が脱落した場合、外壁は木と言うことになってしまう。鉄板が脱落するまでに時間がかかるからよい、と言うことなのかもしれないが、今ひとつ腑に落ちない。
これが、木造の防火構造だとさらにややっこしくなる。これは次のe-projectで考えることにする。
ここでの問題は、耐火構造の外壁仕上げは、法規的に何が可能かと言うことでしたが、結論は「良く分からない!」
とは言え、無理やり答えを出せば、仕上げ面が不燃材であれば(下地に関わらず)大丈夫ではないかと言うこと。
ここに書いてある法解釈は単に個人的な見解なので、実際に建築する時には、行政庁とよく打合せることが必要です。
あまりに、ダラダラと長くなってしまったので、最後に一つだけ。
角波板の下地とする胴縁だが、これは黙っていれば良くて杉、ひどい場合は米栂だと思うが、角波板は釘止めで釘が露出しているため、その部分の止水性が必ずしも良いとは言えないので、出来れば米ヒバ程度の耐水性の良い樹種にすべきではないかと思っている。
ただし、特記すればたいした量ではないとは言え、コストに響くので難しいところだが。