パレスサイドビル

udf2004-09-21

仕事の合間を見て、竹橋の近代美術館で開催中の「RINPA展」を見に行ったが、平日の昼間だと言うのに、かなり混んでいてゆっくり見る気にもなれず、早々に会場を立ち去った。
帰りに歩いて丸の内の、「oazo」に回ってみた。途中にある「パレスサイドビル」はいつ見ても、よく出来ていると感心する。林昌ニ氏の傑作だと思う。http://www.palaceside.co.jp/about/a_frame5.html
敷地の形状を生かした円筒形コアとオフィス部分の配置は絶妙。アルミの庇がファサードの表情を豊かにし、レンガの設備コアの外壁が全体をきりっとしめている姿は非のうちようが無い。円筒形のコアについては好みが分かれるかもしれないが、やはりここは円形しかないかもしれない。銀座の「三愛ビル」で実験済かも知れないし。
庇の上部に置かれた鳩の彫刻が、どこかユーモアとウイットがあって、無機的な建築に、そこはかとなく暖かさを与えているのがまた良い。同行者は、飛び立つ鳩の像を見て、「あれは鷲だ!」と言っていたが。
写真は、和気清麻呂銅像のあるお堀端から。カーテンウォールに初秋の青い空と白い雲が映っている。
パレスサイドビルのHPから説明を引用しておく。

この鳥たちはビル開館以来、羽を休め、また飛び立とうとしているアルミブロンズのハトたちです。ビル設計者はかつて新聞社が原稿を運ぶ手段として利用していた伝書鳩を平和のシンボルとして、現在も毎日新聞社が入る当ビルに意匠的な遊び心で置いたのです。
作者は一色邦彦氏で、ビル建設当時に彫刻の高村光太郎賞を受賞、その後多くの各種受賞作品を制作しています。

両サイドのレンガについては、常盤橋にある東洋経済新聞社の外壁でいろいろテストしたうえで、満を持してパレスサイドビルに使ったと言う話も聞くが・・・。一時期、「国代耐火煉瓦」で「P・Sレンガ」と言う製品があって、チョッと高いが製品が良いので、予算が許せば使っていたが、「P・S」に以下のような出自があるとは知らなかった。
以下も、パレスサイドビルのHPから。

レンガの風合い 、豊かな質感を持ちながら、物性強度が高く、高品質のマンガンが入った新しいレンガは当時の三木武夫通産相によって「P・S(パレスサイド)特殊煉瓦」と命名されました。建築素材として日本レンガ業界ばかりでなく世界的に高い評価を得たのです。現在は当ビルの特注で、建設当時の品質を保ったレンガが高松市のタマモ陶業協同組合で焼かれています。

パレスサイドビルを見た後、丸の内の建築群を見ると、前川國男東京海上や、村野藤吾の旧勧業銀行のほかは見るべきものが無いのはどうしたことか。東京中央郵便局がどうなるのか分からないが、くれぐれも周辺の建築のように、感動の無いものにならないように願うばかり。
ちなみに、パレスサイドビル、東京中央郵便局はともにDOCOMOMO 100に選出されている。入手しやすい資料として「BRUTUS Casa 2004 SEPTEMBER」がある。
ドコモモのURLは、http://www.docomomojapan.com/
竹橋から丸の内に行く途中で、竹中の設計したサンケイビルに寄ってみた。以前は道路際まで建っていた建物が後退して、比較的広い広場が出来ていた。そこに仮設的に置かれているcafeがチョッとお洒落なので休憩した。設計者を聞いたら、「コクヨ」だった。こんなものまでやっているのかと、チョッとびっくり。