NPO葉山環境文化デザイン集団

udf2005-01-02

葉山は海と山の両方を楽しめる気候温暖な場所で、「葉山環境文化デザイン集団」のパンフレットによると、昭和初期の最盛期には500棟の別荘があったようだ。
しかし、葉山もほかの地域と同じように開発の波に洗われてしまい、往時の面影を残す建物は「風前の灯火」となっている。
そんな葉山の歴史的景観を保存しようと活動しているNPOが、「葉山環境文化デザイン集団」。
この「葉山別荘ツアー」と言うのが大変面白い。ツアーに組み込まれている、古い別荘を使った料亭・レストランでのランチが、またなかなかコストパフォーマンスも良く、空間もめったに味わうことの出来ないものになっている。
、「葉山環境文化デザイン集団」の活動の紹介は次のHPに詳しい。http://www.hayama-kuretake.net/sienkyoukai/group/06.htm現在はhttp://www.kanshin.jp/hayamakbd/
その一部を引用しておく。

■活動目的
葉山における歴史的建造物並びに歴史的景観を次世代に継承するための町民による町づくりに貢献することを目的としています。
■活動内容
1.葉山の歴史的建造物並びに歴史的景観に関わる調査
2.現存する歴史的建造物並びに歴史的景観の保存と再生
3.葉山らしい住風景、住環境構造の提言
4.公開講座、フォーラム、イベント等の開催
5.出版物の刊行
6.その他、この会の目的を達成するために必要な事業
■活動状況
葉山まちづくりグランドデザイン制作、景観調査やフォーラム、別荘ツアーの実施。

天気の良い日に葉山の御用邸の前の砂浜から見える、相模湾に浮かぶ富士山は最高です。
2時ごろにはランチも終わるので、帰りに「山口蓬春記念館」や「県立近代美術館葉山分館」を見る余裕もある。
「葉山環境文化デザイン集団」からの年賀状によると、今年の上半期の活動は以下のとおり。

●湘南邸宅文化ネットワーク協議会の総会とシンポジウム(2月、葉山福祉文化会館)の開催
●庭園文化調査団と提携しての葉山一色景観まちづくり調査(国土交通省「全国都市再生モデル調査」)
●写真集「葉山のこみち」及び「葉山の別荘」の出版
●別荘ツアー
●町内で行われるイベントへの積極的な参加

■トップの写真は、「遠藤新http://www.oya909.co.jp/museum/endou.html 」設計の「加地邸http://www.iris.dti.ne.jp/~nickey/en_kaji_b.htm」。
「住宅建築」1981年10月号から。それから20年たった2003年も、ほぼそのままの状態で残っているようだ。その後の状況は分からない。
葉山丘陵部の迷路のような細い道を行くと、「ライトスタイル」にがっちり固められた「加地邸」がある。
別荘ツアーのパンフレットによると、

創建者は三井物産重役の加地利夫。設計者はF.R.ライトの直弟子として帝国ホテルの建設に携わった遠藤新で昭和2年の建築。この建物は遠藤新の代表作で、家具や内装も建築当時のままの状態で残っており、日本近代建築史上貴重な建物である。

この建物が貴重だと思ったのは、建築もさることながら家具がそのまま残っていることなのではないかと思っている。
とは言え、過ぎ去った時間の長さは半端ではないので、このままでは早晩朽ち果てないとも限らない。
同じ「住宅建築」1981年10月号に載っている「旧近藤邸」は藤沢市民会館の敷地に移設保存されていることを考えると、葉山市民の力を信じたいところ。加地邸は今立っているその地にあるべきだと思うのだが。*1

*1:INAXレポートの「ディテール再考」の中の「遠藤新」特集には「加地邸」は何も載っていない。取材や見学はまったく出来ないのかもしれない。