無印良品の広告:大徳寺玉林院蓑庵

udf2005-01-17

1991年4月から2年間「新建築」に連載された記事に、西和夫氏の「数寄空間への招待」と言うものがある。基本的に見開き2頁で、代表的な茶室を写真と平面図などで紹介している。同時にその茶室記事のテーマにふさわしい現代の建築を、あわせて一言(写真付き)紹介すると言う大変面白く参考になるものだった。
その中から、先日載せた「無印良品」の広告に出てくる茶室に関する連載記事を紹介しておく。「蓑庵」に関する話は基本的にこの「新建築」の記事からの引用。
「蓑庵」は玉林院のもう一つの茶室「霞床席」の茶室と対で使われていたらしい。

山中鹿之助の位牌を安置する位牌堂南明庵を中央に、西に蓑庵、東に霞床席が接続し、三者一体となって使えるように設計されている。・・・蓑庵は「三畳中板中柱出炉下座床」の席である。・・・3畳プラス中板で、客座となる2畳と点前座となる1畳との間に幅1尺4寸(約42cm)の板(中板と呼ぶ)を挟む。この中板に炉を切っている。中柱は赤松皮付の曲柱。その足元、点前畳から出たところに炉を切るので出炉という。点前座からもっとも遠いところ、部屋の隅に躙口をあけ、その正面に台目畳の広さの床がある。床の脇に給仕口をあける。床が上座ではなく下座のところに位置するので下座床という。・・・中板で名高いのは官休庵の席で・・・蓑庵の席名は、これを建てたときの玉林院の和尚、玉林院第八世大龍の号「蓑庵」にちなむものらしい。・・・

ちなみに、中板の現代茶室としては、豊田市美術館の敷地内にある「豊祥庵」の席の一つが「二畳中板入」で、設計は美術館と同じく谷口吉生氏。以前見学したときの記憶は「三畳中板」だったが、記憶違いだったようだ。ネットでは「豊祥庵」内部の写真は見つからなかった。http://www.museum.toyota.aichi.jp/japanese/shop_rest/dojien.html
このときの記事のキーワードは「素材に挑戦」で、「苆・すさ」の入った壁がテーマ。素材の大胆なあつかいかとしての現代建築として紹介されているのは、出江寛氏の「東京竹葉亭」と坂本一成氏の「コモンシティ星田」など。そこでは「コモンシティ星田」を「メタリックな外壁が新鮮な」としているところが時代の流れを感じさせる。
トップの写真は「新建築」より、「蓑庵」の客座からの写真で、中板・炉・中柱・壁の苆の様子が良く分かる。
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