Graph TEPCO 夏、花火!

udf2005-07-10

まだ梅雨の真っ只中だが、7月も10日を過ぎれば夏の風物詩、「花火」と言うことになるか。この季節になればあちらこちらの「FREE Magazine」で花火の話題が沸騰するのだろうが、お花見・花火・祭り等々、日本人は季節の行事が好きな民族らしい。四季それぞれの美しさが、そのような文化を育んだのだろうが、なかなか楽しい習慣だと思う。
建築で言えばその延長に「室礼:しつらい」が有るのだろうが、そちらはいささか心もとない。どうも、「室礼」は節句飾りのような歳時記のように扱われている感じがしないでもないが、実際のところはもう少し建築的要素があるのではないか。例えば、明かり障子を葦戸に替えるとか・・・。
サイトを見ていると「室礼」は、あたかも単な季節ごとの飾り付けのように取り扱われているが、それではチョットいかがなものか!長い歴史を持つ「室礼」ではあるが、時代とともにそうなってしまったと言えばそうなのかもしれない。とは言え、建築を業としている立場からすれば少しは過去に遡っておきたい。
引用もとがいつも同じような気もしないではないが、稲次敏郎氏の「庭園倶楽部」によれば以下のようになる。

一室空間と「室礼」
平安の都に繰り展げられた寝殿造りの棟々は、母屋・庇を支える列柱が四周をめぐり、一部を囲って塗籠とした以外は吹き放たれた一室空間であった。この壁体・天井のない化粧小屋組・屋根裏と板床の屋内空間を、生活の場としての「すまい」に仕立て上げるものは王朝の多くの華麗な道具類「調度」であり、目的に合わせてその場を整えた。すなわち、四面柱だけの均質な屋内空間は、「調度をしつらえる」ことによって有機的な場として整えられ、「しつらわれた」場と場を「屏障具」がへだて、つなぐことによって寝殿造りの生活は成り立っていた。
「調度」は生活に必要な道具類のことであるが、一式・一組・一揃とグルーピングされ、様式の統一された格調ある道具類であり、一般的な雑家具・雑器とはその趣を異にしている。この格調高い調度を組み合わせ、一定の方式にしたがって場を整えることを「室礼」または「舗設・ほせつ」という。そしてこの一定の方式・慣習が「有職・ゆうそく」である。*1

王朝貴族の生活が、年中行事を主体とする生活であったために、「室礼」が季節ごとの行事と不可分に結びついていったとのことだが、現在はその「年中行事」の飾りつけのことが「室礼」になってしまった、と言うことのようだ。確かに季節ごとに変化をもたせることは、建築そのものの要素に「変化」を期待することは物理的に現実的ではないと言うことだろうか?
「花火」の話がいつの間にか「室礼」の話になってしまったが。
トップの写真は、東京電力のFREE Magazine、「Graph TEPCO」の7月号。関東周辺の「大花火大会Calendar」が12箇所ほど載っている。詳細は⇒http://www.tepco-switch.com/life/g-tepco/index-j.html

庭園倶楽部―日本庭園の「ありやう」を求めて

庭園倶楽部―日本庭園の「ありやう」を求めて

*1:この後、「屏障具」とはどのようなものか等、事細かに説明が繰り広げられるが、長くなるので省略。