さいたま新都心o-project 3

udf2004-10-31

以前、「象設計集団」(http://www.zoz.co.jp/)の富田玲子氏が、ヤクルトホールで行われた講演会の中で、現代の超高層を批判していたが、その根拠は「同じ平面が際限なく繰り返す」ことの愚かさ、のようなことだったように記憶している。
その批判は現在でも十分通用するものだと思える。その批判は十分共感が出来るものだった。
しかしながら、現代のオフィス空間をクライアントの要望に沿って作るとすれば、今の日本では「同じ平面が際限なく・・・」と言うことになる。せいぜい1階おきにちまちましたリフレッシュコーナーと称する「隙間」を作るのがせいぜいである。それも、良心的な建築家が苦心惨憺して、クライアントを納得させられればと言う前提つきだが。
オフィス空間については、日建設計の小倉氏の言うところの「オフィス帯論」が、依然として打ち破られていないのが現状。
「基準階」事務室
「オフィス・ランドスケープ」と言うスタイルが一時期盛んに言われたが、結局日本のたて社会の会社組織の中では、根付く土壌はなかったと言うことになるか?
o-projectにおいても、基本的には「オフィス帯論」と「繰り返される同じ平面」と言う枠から、逃れることは出来なかったが、リフレッシュ空間は「隙間」でもなく「繰り返される同じ平面」でもないものにすることに、多くの時間と労力を使った。
具体的には、3階層を貫く形の違った吹き抜けを平面のほぼ中央に置き、それを積み重ねる方法で各階に全て違った空間を作り出すことにした。
昼休みになると三々五々職員が集まり、昼食をとったり、お茶を飲みながら歓談する姿が見られた。
もっとも、しばらくすると管理上の問題とかいう、わけの分からない理由で、食事が禁止されてしまい、リフレッシュ空間は活気のない場に変わってしまったのは、返す返すも残念至極。

この吹き抜け空間はこの建物デザインの一つの重要な要素で、「街づくり協議会」で合意された、「働く人々の活気が街に滲み出す」建築として、この空間を上下に移動する人々の活動が、外から垣間見られるように作られている。階段もランダムな位置に設置され、外部から「階段であること」が認識できるように、階段2段分で1段に見えるような、はっきりと階段と分かるようにデザインされた。

リフレッシュコーナーの夜景。低層部のレストランとエントランスの上に架かるテントの上に、変化のある吹き抜けが連なる。
吹き抜けには、大きな金属製の樹木と人型が配置されていたが、工事発注後取りやめになっている。

講堂(光天井:ABC商会)

郵便局との間の渡り廊下。窓、天井を支えるフレームは外側に有る。
トップの写真は講堂ホワイエ内にある、職員慰霊碑。当初計画にはなかったが、工事途中で設置、「集いよる空間」として、日本古来の広間空間である九間(ここのま)を象徴化した16本の柱から構成されている。