CODAN sinonome 6街区

udf2004-12-07

東雲キャナルコート都市再生機構http://www.codan.jp/ としての最後の公募。最もまだタワーが3本残っているがそれは建物としては民間分譲なので、少し意味合いが違ってくるのだろう。
■6街区の設計は、元倉真琴氏、山本圭介氏、堀啓二氏の3人によるチーム設計(9月22日のDiary参照http://d.hatena.ne.jp/udf/20040922)。
■敷地はキャナルコート中心部の北東の角で、東側と北側に伸びるL字型で内側に1棟離れた形で付いている。
東側の棟はリニヤーに東棟と西棟が並行し南北に抜ける中庭が付いている。http://www.codan.jp/s_canal/image/win/court_win_pic.gif
■5街区を除く今までの街区と同じく、SOHOタイプやメゾネット型などいろいろなタイプがミックスされている。
L字型の内側に入った20号棟はみることが出来なかったのと、他の棟も3階までしかみることが出来ないこともあり、空間的な変化や豊かさは1・2街区がいささかまさっているように思えるが、如何なものだろうか。
100㎡メゾネットタイプ等を見ていないので何とも言えないが、全体的に外に開いた空間が少ないように思える。それだけレンタブル比が厳しくなっているのかもしれないが、玄関前のアルコープの空間がそれに代わるものなのか?
それであれば「公平に」ばらまかず、まとめて使った方が良いような気もするが、それでは今までの街区と同じようになってしまうと判断したのだろう。
■トップの写真は「生活提案モデルルーム」として、赤ちゃんのスペースが設定されていたが、果たしてこの環境は子供を育てる環境か否か。男の子が遊ぶのには結構面白そうなところも、あるにはあるようだが。

■今時の集合住宅はは圧倒的に引戸が主流なのか?今回は通常の上吊のものと、戸車で上枠無しのものと2種類有り、上枠無しのものは余り見かけない。戸の裏側にハンガーが付いていて床にレールもないというのを、戸建住宅のオープンハウスで見たことがあるが、戸車で上部に1箇所振れ止めが付いているだけと言うのは珍しい。結構セッティングが難しいようで、縦枠とバチになって隙間が開いているところもチラホラ。
■基本設計が上記3名になっているが、実施設計に他の事務所が入っているのだろうか?「機構」は、外構などは設計と監理を別の事務所に発注しているようだがこの場合はどうなのだろうか?オープン型のキッチンがブルーだったり、チョッと信じられないような決め方もしているようだが・・・。この規模でこの質の建築を、設計・監理分離発注したら破綻するのは目に見えている。6街区を見る限り「アレ!」と言ったところも散見されるが。

■まだ全体計画が完結していないので、断定的なことは言えないが、全体的に「隅から隅まで」デザインがされすぎているのではないか、というのが第1印象。意図的にせよどこかに「逃げ」がないと、「やってられない」のではないだろうか。「さいたま新都心」の計画の時も。どこかの隙間に、「屋台でも並べて仕事の帰りに一杯飲めるような路地でも作らないとだめではないのか」と言った話があがっていたが、「デザインをどこでやめるか」と言うことも重要なことだと思う。
■個々のデザインがどんなにすばらしくても、集合体が「環境」として優れているか、魅力があるものか、ということとは別物なのだと思う。開発計画そのものの問題なので、個々の建築家の領域を超えているのだが。

■「経済」を第一にする高層住宅の宿命(「機構」もすでにそれに近いが)は、住戸に至る共用部分の動線が持つ、言いようの無い鬱々とした空間の気分の悪さにある。これは、2棟並列型や中庭型にする限り逃れることが出来ない(逃れにくい)。個数を稼ぐにはこれが最もやりやすいプランニングなので、ほとんどの高層住宅が「鬱々とした」空間とともに存在することになる。
■この計画の救いは「賃貸」であることだろう。先日TVで、団塊ジュニアを狙う「パワービルダー」http://www.mediaforest.com/habitat/essey/e_118.htmと言うのを放送していたが、とにかく一戸建てで庭付きなら何でも良い、という選択肢があって20代30代の若い世代がそうだと言う。彼等をターゲットにした「パワービルダー」と言われる「業者」の建てる住宅が放送されたが、唖然とした。土地が唯一の資産と言った感じの開発で、社会的ストックとしてはほとんど意味を成さないのではないかと。その土地でさえわずか100㎡足らずということなので、将来売却しやすい規模なのか。それが「分譲」であることが一層将来に禍根を残すのではないかと・・・。
■いろいろ問題はあるにしても、2時間ほど十分楽しみ勉強することが出来た。オープウンハウス見学はやめられない!次はどこを見ることが出来るのだろうか?