小堀遠州-4-2 "綺麗さび"という美−書

udf2004-12-15

小堀遠州の書はとても近代的なというか、「デザイン化された書」と言った感じで魅力的だ。特に隷書的な箱書きなどは、こんな「書」が書けたらと思って、少し練習したことがあったが、所詮付け焼刃では仕方が無い。
もともと遠州藤原定家に心酔していた。その辺りの文書を「芸術新潮」から引用しておく。

遠州は、藤原定家に心酔し、『古今集』の歌切などの定家の書を精力的に入手していた。・・・中略・・・この「和歌」と「書」を通じて遠州の王朝文化への傾倒が見事に結晶したのが『東海道旅日記』である。元和7年(遠州43歳)の上洛の旅と、寛永19年(64歳)に京から江戸に下った旅の様子を自ら書き留めた私的な記録ではあるが、定家様の流麗な書体によって綴られ、・・・。

トップの写真がその一部。書体の一番の特徴は(udfの勝手な見解)縦線と横線のコントラストの強さ。縦を細くしたら横を太くする、そのバランスを上手く取りながら文字をデザインしていく。
さらに文字は直線的な形で書かれていく。これは手書きの図面に文字を書き込む時のテクニックと同じだ。出来るだけ直線で文字を書き込むことで、図面の直線的な構成とバランスを取っていくと、図面自体もバランスが取れて美しく見える。
今時の図面はCADになっているので、書き込まれる文字に個性は無いが、それでも使うフォントでわずかながらも図面に個性が出る、・・・と思う・・・。
定家様を自分なりにアレンジして、住所と名前ぐらい筆ペンでサラッと書けると、サインするような状況に陥った時結構役に立つ。自分スタイルの文字を持つのも楽しいもの。

伊勢物語
藤原定家筆本模写(伝)小堀遠州筆(別の資料では室町時代後期写)
http://library.tsurumi-u.ac.jp/library/kotenseki/kz053.gif