会津桐・SIGNATURE
いろいろな種類の雑誌に、日本の伝統的な工芸品が紹介されているが、実に知らないことが多い。
もちろん桐の箪笥についてはその存在も効用も一応「知っている」わけだが、少し「専門的」なことになるとほとんど知識が無いことに「愕然」(少々オーバーだが)とする。
今回の桐の箪笥についても同様。たとえば素材の桐について、中国やブラジルから輸入品が入るが、木目の詰まり方など、やはり会津のものが最上と言うことらしい。
渋抜き*1をするために二年ほど風雨にさらした桐材をゆっくりと慎重に吟味する時間から箪笥作りは始まるのだ。
なるほど!
「木目出し」と言うのも「塗り」の工程だとは知らなかった。
これは桐の目をはっきりと見せるための工法で、天然塗料が用いられる。
天然を使う職人は全国でも数少ない。会津工房では
夜叉五倍子*2の果穂を一日中煮出して、この天然塗料作りから行っているのだ。
なるほど、なるほど!!
金属の釘も使わないらしい。ここでは「白うつぎ」の木釘を使っていて、「やはり緩みがないんでね」と言うことらしい。
確かに木で照明器具や格子を組むとき、最初のうちはビスや釘を使っていたが、やはり一番しっかり留まるのは、竹串で作った竹の釘だった。
この職人さんの座右の銘は恩師から言われた、
「物作りは三百手先を読め」
と言うものだそうだ。
また、道具、素材、技、すべてが丁寧に扱われ、整っているそうだ。
「工房や道具が整理されていないと、頭が整理されない。頭で組み立てられないものは、実際に組み立てられないんでね。」
そう話す職人たちの精神こそが一番整っているのかもしれない。
身につまされる話だ・・・。