東京国際フォーラム

udf2005-04-26

先日、「東京国際フォーラムhttp://www.t-i-forum.co.jp/company/architecture.htmlの駐車場に車を止めて買い物に行ったが、この建物が建っている場所に、旧東京都庁舎(設計:丹下健三)が有ったこともすでに忘れられつつある。
場所的にはかなり微妙な位置と言えるか・・・。三菱村の丸の内側のアプローチ周辺と、有楽町側の「ビッグカメラ」(駅側は村野藤吾の「そごう」のイメージがまだ残っている)や、雑然としたJRの改札、ガード下の持つ雰囲気とは随分違う。
この建物は、1987年のコンペで、1989年に審査結果発表となり、勝者は御存知ラファエル・ヴィニオリ (Rafael Vinoly)氏*1
構造はSDG(http://www3.big.or.jp/~k_wat/works.htm)。ガラス棟がコンペ案と構造が全く違うのはSDGの渡辺氏の竜骨案によったためらしい。コンペ案は鉄骨ラーメン的な構造だったように記憶しているが。
トップの写真は、工事事務所の模型室に置いてあった「ガラス棟」の模型。木製で1/50以上のスケールだったようだが、写真の右側にはケヤキ広場とホール棟がある。その間にはレールが敷かれ、各模型が分割されて地下の断面も見ることが出来る。ホール棟の模型には丁番が付いていて、ホールが二つに開いて客席から裏方までの断面を見ることが出来る。この模型に一体いくらかかったのだろうかと思わずつまらぬことを考えてしまった。ちなみに、工費は1,650億円となっている。80000㎡程度の超高層ビルが4,5棟建ちそうな値段だが、維持管理費も70億/年(一桁違うか?)と聞いたことが有るのでかなりな「金食い虫」と言えそうだ。
場所的には非常に良い立地に恵まれているのだが、何故か余りイベントも行われていないし、ホールも結構空いているのではないだろうか。ガラス棟の上部にはそれなりのレストランが入っているが・・・。
広報にかなり力を入れているようで、施設案内のパンフレットも以前に比べて良くなっているように思うが、オープン当時売りだった「パブリックアート」がやや陰が薄くなってきている。
都心は民間が営利的に空間をほとんど占拠してしまっているが、「国際フォーラム」はケヤキの広場などそれなりに「公共空間」として、都民にスペースを提供しているのではないかと思う。民間でやれないことは山ほどあることが、日本の政治家には全く分かっていない。国民のかけがえの無いものを、「民間」の営利のために・・・。

*1:http://www.rvapc.com/flashindex.html米国籍1944年ウルグアイ生まれ。代表建築物「ヴエノスアイレス市銀行」他