SPACE BLOCK NOZAWA

udf2005-05-28

昨日外観だけ見てきた「C+A」の最新作。とにかく外観が極めて特徴的(トップの写真参照)で、「ダブルスキン」になっている*1。このダブルスキンは、機能的にはル・コルビュジエのセントロソユースのように、主に「温度」の調整をするのと同時に、どちらかと言うと「プライバシー」を守るために設置されているように思える。
勿論、狙いは「呼吸するガラスの箱」を視覚的に表現するところにあるのだろうが。外壁に設けられた設備用シャフトまで、ガラスのルーバーで覆っているところに、設計者の強い意志が見て取れる(?:直接聞いたわけではないので実際のところは???)
オープンハウスには行けなかったので内部空間は良く分からないが、外から見える範囲でも*2、なかなか楽しそうな空間になっている。内部仕上げは、1階だけしか分からないが、床=コンクリート直仕上げに塗り床?、壁=コンクリート打放、一部その上に塗装。天井=コンクリート打放?。2階から上は分からない。特に床は音の問題があるので、何らかの対策がしてあると思うが???たぶん、近々雑誌に載ると思うので、それまでのお楽しみか・・・。
このspaceblockと言う考え方はいろいろな建築家が試みている手法だと思うが、シーラカンスの1997年に「ギャラリー間http://www.toto.co.jp/gallerma/hist/ja/exhibi/coelac.htm」で行われた展覧会で紹介されている。古い話なのであまり記憶が定かでないが、カタログによると「KA」となっているので、もしかするとすでにこの時から赤松佳珠子氏が取り組んでいたテーマなのかもしれない*3。当時のもは「上新庄」のもので、赤松氏は「パートナー」ではなく「メンバー」だったようだが今はパートナーになっている。まあ、どうでも良いことだが、パートナーは経営責任も設計責任も大きいと言うことなのだろうか?ちなみに、トップの写真にある大きな看板は不動産屋さんの入居案内だが、「デザイナーズマンション」設計「小嶋一浩・赤松佳珠子」と大きな文字で書かれている。
内部空間はメゾネットスタイルも多くで使いやすいかは別にして、楽しく生活できそうだ(SOHO用といった感じなのかもしれない)。キッチンも勿論オープンスタイルだが、躯体からRCで受けをを出してシンプルに作ってある。浴室は1階の一部は「3in1」で猫足型のバスタブが入っているようにも見えるが、そのようなものは入れないであろうから、埋め込みようのバスタブに脚をつけて使っているのかもしれない。勿論詳細は不明。
住居部分は、「ブロック」を立体的に組み合わせると言う、「箱根組木細工?」のような試み以外は、よく使われる手法で特に目新しいものは無い。
エントランス周りは面白い。中庭型の階段室で一見の価値有り。今のところこのスペースまではフリーに入れる。サイトの図面だけではその空間の面白さは十分理解できないような気もする。「一見は百聞にしかず」は建築の宿命か。
どちらにせよ、サイトの説明が良く出来ているので、それを見るに限る⇒http://www.c-and-a.co.jp/nz.html
募集を始めて1ヶ月ぐらいになるだろうか?空き室はまだだいぶ有りそうだ。

シーラカンス JAM (ギャラリー・間叢書)

シーラカンス JAM (ギャラリー・間叢書)



*1:カーテンウォールのダブルスキンと言えば、ル・コルビュジエセントロソユース(1928年モスクワ・ソヴィエト組合連合本部事務局)が真っ先に浮かぶ。激寒の地モスクワで大規模なガラスカーテンウォールを採用したデザインは、温度調整システムが不可欠だった。このあたりの事情を「ル・コルビュジエ全作品集Vol.1から引用しておく。

CHAUFFAGE ET VENTILATION
暖房と換気
ひとつの建物とは、採光のある床面だ。
何のために?生活するためだ。
生活の基本は何か?呼吸すること。
何を呼吸するのか?暑い、寒い、乾いた、湿ったものか?
清浄な空気、一定温度の、常温の湿度のだ。
ところで季節によって暑かったり、寒かったり、乾いていたり、湿って
いたりする。国によって温暖、寒冷または熱帯性がある。
各国はその気候に合わせて建築をする。
今や一般に国際的な科学技術の相互交流のある時なので、私は提案
する。あらゆる国、あらゆる気候にひとつの型の建築を、正常な呼吸
の出来る
建築をと。
・・・
http://www.arch.columbia.edu/Students/Fall98/marron.mariana/marron.mariana.a6.2.jpg
「闡明1929:プレシジョン (上)」

結局、実作ではコストの関係からダブルスキンにすることが出来ず、「微気候」の調整を建築的に処理することに失敗しているが、この「コスト」と「技術」の問題は、ロシア構成主義を中心としたロシアアバンギャルド的建築スタイルが失速した、大きな原因の一つである。もちろん1924年レーニンが没し、トロツキーが暗殺され、スターリンが権力を握って「一国社会主義」の方向に向かったことが主たる原因ではあるだろうが。
セントロソユーズの写真はあまり見かけないが、1996年セゾン美術館でのコルビュジエ展では一部が展示されていた。他にも雑誌で見た覚えが有るが資料が出てこないので、出てきたらまた触れてみたい。カーテンウォールのDETAILも出ていたと思う。

*2:まだ入居者がいないところは外から良く見える。入居希望者は中まで見せてくれるだろうが、そこまでやる気力は無い!

*3:やたらと「記号化」することが好きなグループと見えて、なんでも記号化されているので、記号の意味するところが分かりづらい部分もある。「KA」も頭文字ではなくほかに意味があるかもしれない・・・???