e-BOX 住宅開発とエレベーター

udf2005-05-30

エレベーターのオーチスの広報誌で以前一度書いたとことがある。http://d.hatena.ne.jp/udf/20040927
トップの写真が表紙だが裏表紙の一部も入っている。「CITY TOWER 新宿新都心」と言う超高層集合住宅のホワイエの写真。特集の「住宅開発」は勿論「タワー」=超高層集合住宅の話となっている。低層であればエレベーターなんて要らないわけだし。
大手ディベロッパーの開発担当者対談になっているわけだが、その中でこんな一説がある。

住戸は、いろいろな年代、家族構成に対応で
きるようにバリエーションを設けています。
ただ最近の購入者の家族数が、平均で2人程度
なので、間取りは部屋数指向というよりは、いかに
心地いい空間になっているかを第一に考えています。

ということは、子供のいる家族が入ると、子供一人としても、その数だけは単身者の住戸と言うことになるのだろうか。しかし、このようなタワーで子供が育つことは、いろいろ問題があることは以前から言われているし、事実30階から7,8歳の子供が一人で降りてきて、作りこまれた外部で遊ぶことは考えにくい。
集合住宅が先に出来て、日本全体の家族構成が決まるわけではないので、一概に「タワー」を批判するわけには行かないだろうが、郊外型団地が失敗したから、湾岸に倉庫や工場が有ったからと言って、やたらにタワーを建てれば良いというのはチョッとまずいような気もするが。
いわゆるディベロッパーは「東京」と言う場所を破壊してしまうだけでなく、人が生きるスタイルまで破壊してしまうのではないかと少々心配ではある。「小奇麗」に作られた外部空間も、「賑わい」を演出して作られた低層部も、すべてが「利潤」を上げることだけに作られた「虚構」にならなければ良いが・・・。
母の実家のあった勝鬨橋の近くも、今や昔の面影は無い。昔が100%良いわけではないが、「変化」にも「人のスケール」が欲しい、現在の巨大化した建築はもはや「住まい」ではなく、「労働力」の単なる「再生産」のための箱に過ぎない。
そういう建築を嬉々として作ろうとする、建築家やランドスケープアーキテクトは一体何を考えているのやら・・・。生活の糧を得るためなら他のことをすれば・・・とも言えないが・・・。超高層オフィスや高層住宅を設計して得た結論は、あまり大きな建築は、特に子供を含む家族が生活するためのもの住宅は、まずいのではないかと・・・。
まあ、人の考えは色々だから、さまざまな選択肢があっていいのだが・・・。