「和の器をみる〜茶陶の源流展にちなんで」+「洲濱台」

udf2005-06-13

「MARUNOUCHI CAFE」で開催されている、「MARUNOUCHI SEMINARIO」と言うセミナーで行われた「講演会+お抹茶+季節のお菓子」に出かけてみた。3代目「MARUNOUCHI CAFE」は、「東京国際フォーラム」の向かい側にある「新東京ビル」の、「丸の内仲通り」に面した一角にある。このビルは以前「丸の内建築事務所」が入っていたビルで、1階のスタバで一服したこともあった。
1、2階にわたってスペースがあり、「アランチャン」デザインの2代目に比べると、やはりやや見劣りがするかもしれない。2フロアーに分かれているせいか、やや狭い感じがしてしまう。
セミナーは、2階のcafeスペースで行われた。講師は「出光美術館http://www.idemitsu.co.jp/museum/2005new_tenjimain01.html」の主任学芸員荒川正明氏。
茶陶とりわけ利休ゆかりの「楽茶碗」の発生を「土器(かわらけ)」として、一期一会の茶会に使い、その後は「使い捨て」にしたのではないかという、大胆と言うか「無茶」な仮説を立てていた(このあたりの解釈にこちらの誤解があるかもしれないので、出光美術館で再確認が必要かもしれない!)。
出光美術館ならではか、「神道」との関係にも言及していたが・・・。「神が降り立つ清浄の地」と言うイメージの「州浜」についての話がなかなか面白かった。セミナー会場には「州浜台」と茶碗が3つ持ち込まれ、講師の解説の下、自由に触れることが出来た(茶碗は美術館のものではなく、現代作家のもののようだったが)。
トップの写真はセミナー会場に置かれた「州浜台」。神の降り立つ松の幹は金色の水引、葉は緑色の水引で実に見事な「技」。レジュメには「東山遊楽図屏風*1」が載っているが、その中央に「州浜台」が置かれていて、そこに神が降り立ち「お神酒」が振舞われ、後は無礼講と言う段取りらしい。確かに中近世の屏風絵などを見せてもらったが、僧侶が稚児たちにお酒を注がせている前にどんと「州浜台」が置かれていたりしている。
勿論「州浜」は桂離宮などの庭つくりにも頻繁に現れてくる*2
「州浜」は、その形から「家紋http://otomiya.com/kamon/sizen/suhama.htm」にもなり、お菓子にもなった*3。勿論、「茶陶」の話なので、「州浜茶碗http://www.asahigallery.com/information/syurui.htm」と呼ばれる「お結び形」の茶碗の話も出てくる。以前お茶をたてた経験からすると、チョッと使い勝手が悪いかなあ、と言った印象が残っている。大きすぎず・小さすぎず・深からず・浅からず・角張らず・・・「チョッといいふつう」の茶碗がやはり使いやすい。「織部の沓形茶碗http://www.chuokai-gifu.or.jp/minoyaki/eria/re-4.html」なども面白いと思うが。
「茶陶」のセミナーではあったが、「州浜台」と言う面白い造形物と、その「いわれ」のようなものがとても面白く勉強になった。
同行者(お疲れオリーブ)は疲れのせいか、若干睡魔に襲われたようで、講師の目の前で椅子から転げ落ちないか(一番前に陣取ったので)、肝を冷やした!

*1:http://www.kippo.or.jp/culture/nature/loving/samura_b.htm 「コラム 自然を楽しむ日本の文化」白幡洋三郎-国際日本文化研究センター教授 ヨリ

*2:松琴亭の手前に見えるのが州浜の松で池は勿論「海」の「見立て」http://www.kunaicho.go.jp/07/d07-09ph-01.html 茶室に海は付き物との話が荒川氏からあったが、小堀遠州の『茶話指月集』もそのあたりの事情をかたっているような・・・http://d.hatena.ne.jp/udf/20050610

*3:現在一般的には「スアマ」と言われている和菓子の名称はここから来ている。京名物「洲濱」http://www.hpmix.com/home/suhama/