AERA Mook 「新版 建築がわかる」

udf2004-08-19

朝日新聞社が出している、「わかる」シリーズの建築最新版。昔々、「建築知識社」現在の「エクスナレッジ社」、が出していた「キーワード50」の「キーワード・ライブラリー」のようなもの。
さすがに朝日新聞社だけあって、著者は現在第一線で活躍中の人々だが、巻頭部分は今話題の(と言っても、ジャーナリズムが作り出す「話題」ではあるが)若手建築グループなど。なぜか一人で戦わないで、徒党を組みたがる傾向があるような。女性が建築の分野でかなり一般的になってきたという事情もあるのだろうか。
女性単独で戦うにはやはり厳しいと言った事情は、あまり改善されていないのか。女性一人で活躍する若手は見当たらない(?)。
妹島さんも平倉さんも、失礼だが若手と言うには実績が付きすぎたような気がする。長谷川さんはすでに大御所だし。
グループを組む理由はどの辺りにあるのだろう。チョット考えると、意見を調整するのが大変そうだが。もっとも一人事務所では、デザイナーの仕事はどこかに吹っ飛んで、もっぱら建築労働者そのものの日々になる。所員を雇えるほど仕事があれば別だが。
「アモルフ」にしても「ワークショップ」にしても、実際のところはそれぞれ個別に活動していたようなものだろうし、成長してそれぞれがすばらしい建築を設計するようになるわけだが。(そのあたりは、音楽の世界とは違う。サザンもミスチルも、その中にスターがいる。)

このところ、と言ってももうずっと前からだろうが、「ランドスケープ」と言う分野が日本でも確立しつつある。以前なら、「造園」としてくくられてしまうのだろうが。
勿論、日本には「庭園」・「庭師」と言った分野が確立していることはよく知られている。古いところでは、小堀遠州の作庭についてはよく知られているところ。「作庭記」などは建築家の必読書(?)になっている。
日本の建築は、常に庭との関係で作られてきたことを考えると、「ランドスケープ」と言った考え方が確立するのが遅すぎる感じがしないでもない。
庭園については、ワタリウムが主催する「庭園倶楽部」が面白くかつ勉強になる。稲次敏郎氏が講師として開催されてきているものだが、高齢と言うこともあり、今は別の講師も加わって行っているようだ。「庭園倶楽部」と言う本は必読。
AERAMookでは、三谷徹氏が書いている。三谷幸喜監督は知っていても三谷徹氏を知らない建築家は、もぐりである!まあ、「みんなの家」は面白かったが。
三谷徹氏はご存知のように「オンサイト」で活躍する、ランドスケープアーキテクト。槙文彦氏との協働が多いようだが、とても上手な人だと思う。東雲はまだ完成形ではないと思うので、あまり言えないが、あそこはチョット印象が良くない。
デザインが素敵だなあと思うのと、居心地があまり良くないと言うことは、並立するのだろうか?矛盾するのだろうか?
以前、三谷氏の講演を聞いたことがあるが、ランドアートを発想の源に置いているような印象が強かった。
建築も、良いか悪いかは別にして、ファインアートからイメージを作り出すことがある。
AERAMookとどんどん離れていくが、見開き1項目と言うのが多い編集なので、持ち歩いて移動中にパラパラ見るのには良いのではないかと思う。