建築家のメモ-メモが語る100人の建築術-

udf2004-10-18

かねてからダイアリーで書いてきた、「建築家のメモ」の見本品(10月20日発行)が手元に届いたが、予想通りなかなか良い出来になっている。
写真は柳澤孝彦氏のメモの一部で、これが左ページ、右ページにはこのメモに関するコメントと写真、そして建築家のプロフィールが写真入で載っている。
この作品は真鶴町中川一政美術館(http://www.town-manazuru.jp/museum/) で、化粧型枠打放の美しい建物である。展示スペースと茶室で囲われた中庭がある。
参考のために、柳澤氏のメモの部分を引用しておく。

地勢のデザイン

地勢と建築構成の必然的な結びつきの上に
空間の発展を特徴づけたいと考えてきたが、
建築がグラウンドと
どう関わって建つかが重要で、
建築の基部がどう接地するかは、
建築とそれを取り巻く空間が
いかなる「環境」を発展させるかを決める。
すなわち、
建築を一要素とする環境としての風景は
地勢と建築のデザインの双方を
重ねあわせたところにこそ開かれる。
私は常々、
建築100%、ランドスケープ100%、
合計200%と思い続けている。

左ページのスケッチは、真鶴町中川一政美術館設計時の矩計スケッチと、ランドスケープデザインのためのエスキースである。

神奈川県真鶴半島の自然に包まれた静かな環境の中にある。真鶴半島は山からすぐに海になるという地形を持っており、この美術館はその「山」の部分に位置している。
柳澤作品では、木場の現代美術館や第二国立劇場などより充実していて、傑作の一つだと思う。
そんな作品の建築家によるメモを見ることが出来る本、と言うわけである。
発行:丸善
監修:日本建築家協会関東甲信越支部建築交流部会http://www.jia-kanto.org/members/kaiin/bukai/kenchiku_koryu.html
定価:本体2,400円+税