無何有

udf2004-11-22

少し古いものだが、今日はギャラリーの案内も来なかった(実は、「時の忘れもの」から来たが余り・・・。)ので、旅館のパンフレットの話。
写真は山代温泉「べにや」の別館「無何有」のパンフレット。http://www.mukayu.com/
SIGNATUREの宿紹介にも載っている。digital版だが、以前、雑誌の方にも宿の紹介が連載されていてその中にも取り上げられている。二期会などかなり質の高い(値段も高いが)宿が紹介されていた。http://www.diners.co.jp/comyu/signature/selected/2003_08/top_body.html
山代温泉「べにや」の別館を竹山聖氏が設計(1999年石川県建築士会長賞)。建物も良いと思うのだが(行って見たいと思いつつなかなか訪れることが出来ない)、パンフレットが実に良く出来ている。
最初に見たのはggg原研哉氏の展覧会。ちなみにこのパンフレットは、
文:竹山聖
写真:藤井保http://www.recruit.co.jp/GG/Interview/12_fujii.html
デザイン:原研哉http://www.ndc.co.jp/hara/なかなか優れもののHP
パンフレットの構成は、表紙は利休鼠の明度が高いものと言った感じの光沢のない紙に、独特のロゴで「無何有」とあるだけ。裏表紙には「べにや」の文字と住所が小さく入っている。
それを和紙のカバーが覆っている(写真参照)。裏表紙の方は「べにや」とその住所の部分の和紙が丸く切り抜かれている。
カバーの和紙の周囲は「水切り」されたように繊維が出ている(ように見える)が、多分水切りではないのだろうと思う。
中は、竹山聖氏の「無何有」についての説明と、変わった折方をしているページごとに建物内外を藤井保氏が撮影したモノクロ写真が1枚ずつ配されている。
とにかく格好よいパンフレットだ。
「無何有」について、竹山聖氏の文章がパンフレットに載っているので紹介しておく(HPにも載っているが)。

荘子に「虚室生白」という言葉があります。
部屋はからっぽなほど光が満ちる。何も
ないところにこそ自由な、とらわれない心
がある。
「無何有」はそんな荘子のとくに好んだ言
葉で、何も無いこと、無為であること。「無
何有の郷」という風に使います。
そこでは普段の価値観がひっくり返され
る。何の役にもたたないと思われるもの
ほど、豊かな存在なのだというわけです。
・・・略
建築家 竹山聖

変に改行されているのは、パンフレットに拠ったため。後半を略したのは「冗長」と思ったため。前半だけで十分だと思うが・・・。続きを読みたい人は「無何有」のHPを参照されたい。
竹山聖氏の建物は打放がなかなか良い雰囲気を出しているが、好きなのは、大阪の■「Dホテル」新建築89年3月号参照。場所柄基本的にその手のホテルらしいので、週末はシングルユースが出来ないが、以前住民説明のために前泊した時に泊まって見たがなかなか良かった。
ネットでは客室内の写真はなかなか見つからないので、新建築を見るしかないが、インテリアがすごく「とんがっていて(?)」とてもよい。1階のエレベーターで最上階のバーに直行できるようになっているが、バーからは各部屋にアプローチできるエレベータが付いていて、「なるほど!」と感心してしまう。プランも面白い。
黒でまとめたグッズ類もお洒落に作られていた。やはり、「建築+α」があるとホテルに泊まるのも楽しいもの。レターセットなどのデザインが良いと、なんとなく「得した気分」になる。
トータルデザインをコーディネートすることが出来る能力が建築家には求められている。住宅にしても例外ではないので、常に、グラフィックデザインやアートに興味を持って、精神を研ぎ澄ませておきたいものだが・・・、なかなか難しい。