小堀遠州-3 茶の湯-茶室

udf2004-12-05

今日は、遠州茶の湯について少し整理しておく。「茶の湯」は総合芸術といわれるように、茶室・露地(茶庭)・茶道具(茶碗/茶入れ/茶杓/茶釜/仕覆等々)・書・花(茶花)とかなり広範にわたっているので、今日はその中でも手強い「茶室」を少し。
芸術新潮では「利休vs遠州」として、「妙喜庵待庵」http://www.sengoku-expo.net/text/tea/J/09-734.htmlと「忘筌」を取り上げている。「忘筌」については「弧篷庵」のところで少し書いたので、茶室らしく(?)小間の茶室を取り上げておく。
トップの写真は「金地院八窓席」*1のもの。この茶室は三畳台目で窓が沢山付いた(6個)、遠州らしい明るい茶室になっている。
ところで、「八窓」とつく名の通ったお茶室は三つある。一つは勿論「八窓席」、他に古田織部好みと伝えられる「八窓庵」http://www46.tok2.com/home/arc/nara/nara_28.htm 曼殊院の「八窓軒」http://www.manshuinmonzeki.jp/keidai/の三つ。
■「八窓」と言っても別に八つの窓が必ずしもついている訳ではなく、仏教の八相成道(はっそうじょうどう)を表現していると言われている*2。勿論窓が多いと言う意味で使っていると言う説もあるが。
八窓席:金地院の見学コースに別料金で事前申し込みをすれば見ることが出来る。
遠州の庭、長谷川等伯の「猿候捉月図」も見ることが出来るので、京都の見学コースには良いのではないか。ただし、茶室内に入ることは出来ず縁側の躙口からと、隣接する六畳の茶室側の茶道口から眺めるしかない。この六畳の棚が「八窓席」の床の裏側に作られているが、遠州の密庵席のつくりに通じるところがあると言う。
竜光院密庵席については、以前磯崎新氏が東大のセミナーでいろいろ面白いことを言っていたが、それはまた別の機会に。密庵席の画像は次のものぐらいしか見つからなかったが(http://www.kippo.or.jp/culture/build/build/img/daito-1.jpg)、問題はこの写真に写っていない壁にある棚の話。
曼殊院の「八窓軒」は現在見学できるかどうかは不明。以前は見学受付の窓口でお坊さんにお願いすると、拝観料1000円で見学が出来た。書院の裏の方をずっと案内してくれるので、途中の「丸炉・ガンロ」なども見ることが出来るので面白い。
茶室は小書院の前にある露地から躙口を入る訳だが、見学は水屋を通って茶道口から入る。大きさは三畳台目。亭主畳以外の部分には窓は一面にしかないのだが、明るくなりすぎないように窓と向かい合う壁には「烏賊墨」が塗ってあり真っ黒な壁になっている。
見学した当日は夕方近くだったこともあるが、やたらに暗いお茶室だった。とは言えなかなか雰囲気の良い空間であることは間違いない。遠州好みと言う説もあるらしいが、時代的に合わないというし、その暗さからも遠州好みでは無いようにも思えた。
■「八窓庵」は見たことが無いので、そのうち見る機会があったら、追加しよう。
茶室をチョッと勉強するのに便利な本⇒茶室平面集―茶室の基本を考える
遠州の茶室について短くまとめるには知識不足なので、一応遠州好みといわれる茶室を上げておくので興味がある人は詳しく調べて教えて欲しい。
「弧篷庵:忘筌・直入軒・山雲床」、「金地院八窓席」、「竜光院密庵席」など。
金地院は別にして、他は松平不昧の関係がいろいろ言われているので、まあ、よく分からないというのが正直なところ。
いずれにしても遠州の茶室は、利休に比べて「明るくゆったりした心地がする」らしいと言うことになるだろうか。

*1:芸術新潮より。ネットではなかなか良い画像が無いが、次のhpに南禅寺の紹介が有りその中に少し八窓席が。http://://www003.upp.so-net.ne.jp/hata0913/tokubetu-5.htm 婦人画報社の「京の茶室」が図面もあって良いかもしれない。八窓席は管理が厳しく、さすがの瀬戸内寂聴さんも中に入れてもらえなかったようで不満そう。⇒http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4573400079/hatena-22/ref%3Dnosim/249-3553019-6413126

*2:「J*美うつろわぬ日本の美」HPより:八相成道というのは、釈迦八相のことで、特に成道を重視していうようである。釈迦がこの世に現れて衆生に示した八種類の相のことで、降兜率(ゴウトソツ)・入胎・住胎・出胎・出家・成道・転法輪・入滅のことをいうらしい。