小堀遠州-4-3 "綺麗さび"という美−名物裂帖「文龍」
「仕覆」「袱紗」「表装」などに「裂」は使われる。遠州はこの「裂」の有名なスクラップブックを作った。それが「文龍(もんりょう)」と言う名物裂帖となって伝えられている。
この実物は、現在の小堀宗実家元のところにあるのだと思う。紅心宗慶宗匠(先代の家元)による解説書(?)「名物裂鑑『文龍』」と言う本が出版されている。
- 作者: 小堀宗慶
- 出版社/メーカー: オクターブ
- 発売日: 1999/01
- メディア: 大型本
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手軽に読むには、淡交社の本がよいかもしれない。(http://tankosha.topica.ne.jp/special/bookfair/2001_05/book3.html)
トップの写真は芸術新潮の中の「文龍}の一部で、そのキャプションを引用しておく。
わが国最初の名物裂帖《文龍(もんりょう)》 縦16.2CM
茶入れの仕覆や書画の表装に用いた名物裂の残りを、遠州
が自ら丹念に貼り込んだもの。裂に人一倍こだわった
遠州の面目躍如たる超豪華版の"スクラップブック"だ。
名物裂をビジュアルに見るのであれば⇒http://homepage1.nifty.com/yagi-h/sozai/meibutu/meibutu.html
名物裂の説明は⇒http://www.mitene.or.jp/~oono/tea03-13.html
最近の建築では余り織物の壁紙は使わなくなっている傾向があるようだが、一昔前までは、コンベンションホールなどに多く使われていた。今はどのような状況なのか、住宅ばかりやっているのでわからないが。
「名物裂」の流れをくむ裂屋さん(建築に関連する)には、「龍村織物」http://www.ktv.ne.jp/~hokura/newpage4.htm や、「川島織物」http://www.kawashima.co.jp/ などがあるようだ。勿論、「名物裂」で壁を貼る「数寄人」がいるわけは無いのだが、棚などに部分的に使うことはあるようだ。
以前、新高輪プリンスホテルの「惠庵」を見学した時見た違い棚は、奥の壁を裂地で斜めに張り分けてあった。
「村野藤吾のデザイン・エッセンス1 伝統の昇華」を見ると、《裂地張り》として、桂離宮「笑意軒」の肘掛窓の腰壁部分、上記の「惠庵」、「三養荘」地袋が取り上げられている。
このようなデザインをする建築家も随分少なくなったのではないだろうか。良い意味での「伝統」が消えていくのは残念。もっと大きな意味で伝統文化は生きているのかもしれないが、このような「DETAIL」こそが大切なようにも思えるが・・・。
伝統の昇華―本歌取りの手法 (村野藤吾のデザイン・エッセンス)
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bauman(http://www.creationbaumann.ch/)の椅子張り地で茶碗の仕覆を作るのも、遠州ならきっとやるのではないか。何しろ、茶碗をオランダに発注し、ワインを好物としたような人物なのだから。