素材とファサード

udf2005-01-07

村野藤吾のデザイン・エッセンス3」は「外の装い」と言うことで「素材とファサード」がテーマ。
村野藤吾は空間そのものは勿論だがなんと言っても「DETAIL」と「素材」が大きな魅力になっていることは衆知の通り。
目次は以下のとおり。

●タイル:タイル・モザイクタイル・RCフレーム
●ガラスブロック:ガラスブロック・トップライト
●石
●コンクリート:打放し・プレキャスト
●吹付
●金属:アルミニウム・アルキャスト・鋼板・ステンレス・ガラスウォール
●竪板張
●造形:スリット・柱分節・バルコニー・開口部装飾・彫塑

となっている。
なんだか用語が部分的に変な感じもするし、分類の仕方も「造形」などという項目が入っているあたりは、すっきり「腑に落ちない」気もするが、内容の充実振りがそんなつまらぬことを払拭させてくれる。
タイルの裏表を逆にして張るような「芸当」を見せているが、うっかりマネをするとタイルがパラパラ落ちるはめになることは間違いないので、何故それが可能なのかを良く観察してから取り入れないと、取り返しの付かないことになる。
三島由紀夫がどこかで「小説をまねた行動の愚かさ」を書いていたが、何事も「猿真似」は十分気をつけないと「賢いサル」にはなれない。
以前、左官仕上げの中間にタイルで帯を入れた美しい壁面の写真を見て、それをタイルのみで表現する方法を考えたが、それはまずまずの出来だった。
帯に相当する部分に、「湿式押出中空タイル」の小口を見せる使い方をしたのだが、泥や砂がたまるとか、虫が巣を作るとかいろいろ心配する人も居たが、それなりに雰囲気は出るものだ。「賢いサル」になれたのかは良く分からないが。
村野藤吾の素材の使い方は見事なものがあるので、少しでも学んで行きたいものだ。とは言え、それを生かす時間と機会はそれほどあるとも思えないが。

■今日、京橋のINAXギャラリーで「ハンガリーの建築タイル紀行」展を見てきたが、見学者の一人がINAXのギャラリー係りの人に、「タイル」と「テラコッタ」と「セラミック」の違いについて説明を求めているのが聞こえてきたが、明確に答えきるにはなかなか厄介な質問だと思う。

「水野信太郎の赤煉瓦こばなしVol.12」によるとテラコッタは以下のようになる。少し長くなるが、結構面白いので一部を引用しておく。全文を見たい場合は→http://www.dance.ne.jp/~redbrick/hanasi/koba3-4.htm

シリーズ「煉瓦と類似品」
4.煉瓦とテラコッタ
・・・
煉瓦に似て非なるもの‥・テラコッタ(人によってはテラッカタ)です。テラコッタは、テラとコッタという二つの言葉から成り立っています。
テラは土のことです。住宅の庭先に取り付けられるテラスは、元来が土に接していなければなりません。その点が2階でもよいベランダ(屋根つき)や、2階以上に設けられるバルコニー(屋根なし)などと決定的に違っています。
・・・
一方、テラコッタのコッタは、イタリア語で「焼かれた」を意味します。・・・
このように見てきますとテラコッタとは単に、焼き上げられた土製品ということになってしまいます。その限りにおいては煉瓦もタイルも屋根瓦も、みんなテラコッタに含まれてしまいそうです。
現在の日本でテラコッタという場合には・・・、建築の世界でしたら様式建築の装飾用大型粘土製品を呼びます。たとえばコリント式オーダーの柱頭に載っているアカンサス(葉あざみ)の葉などを石材で刻むのは大変なので、焼き物で造ることは珍しくありません。これなどが代表的なテラコッタなのです。・・・

では、TAILとは何かと言うことになるが、英語の辞書では「屋根瓦」なって言うのがあって、ごく簡単に言えば、基本的に四角やそれに近い単純な形で、それ自体に装飾性のないプレーンな焼き物と言うことにでもなるのか?
セラミックは今まで余り建築用語としてはなじまない感じがしないでもないが、あえて建築に使うのであれば、「焼き物」全体の総称と言うことになるか?
テラコッタもタイルもセラミック・・・?
やや問題を分かりにくくしているのは、「タイル」には「プラスチックタイル」や「カーペットタイル」や「自然石タイル」など四角い形をしているものに、やたらに「タイル」と言う名称を与えていることにもあるが。まあ、時間のあるときゆっくり考えてみようか。

外の装い―素材とファサード (村野藤吾のデザイン・エッセンス)

外の装い―素材とファサード (村野藤吾のデザイン・エッセンス)

■今日のCD
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少年アリス

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