永井桃子展

udf2005-05-16

「ときの忘れもの」での展覧会。トップの写真は送られてきたDMだが、絵の内容が分かる同じ画像が「ときの忘れもの」のHPにある。http://www.tokinowasuremono.com/tenrankai.html

■会期 2005年5月20日[金]〜6月4日[土]  
12:00〜19:00 日・月・祝日は休廊
■会場=ときの忘れもの

DMとHPに作者の言葉が載っていた(勿論同じもの)。茶店を通して建築スタイルの変化がさりげなく語られているので、チョット長いが引用しておく。
ここで語られた風景は、身近なところにも見られるように思う。どちらのスタイルが良いというわけではなく、奥深い暗さも、どこまでも透明な明るく軽い空間も、あるいはその中間的な雰囲気もそれぞれが捨てがたい。いろいろな空間が共存してこそ、それぞれの空間が生きてこようと言うもの。

 昔、パリシェという喫茶店があった。20年位前だろうか地下道と一緒に洋服なんかを売る店ができて、その横にごく普通の喫茶店ができた。
ちゃいろくなった食品サンプルの向こうに、古びたランプのような喫茶店がみえた。店員はいつも同じような顔をして立っていた。私には、そう見えた。通り過ぎる視覚に入るあなぐらの暗さは、喫茶店を小さな秘密の世界にしていた。
 ある日突然にその店はなくなった。そのあとにできた店は透明だった。隅々まで明るい蛍光灯の光にあふれ、壁も真っ白い、ガラス箱のような空間に人がいる。
窓は外を見るためではなく、中を見せるために開かれていた。
 人の住む場所の光は時代と共に変化する。そして光を描く絵画もまたその、時の色を反映させるのかもしれない。
    2005年春    永井桃子