プラチナ茶室「利庵」

udf2005-06-10

夕月夜
海すこしある
木の間かな
  『茶話指月集』

小堀遠州は、茶室へと向かう露地をこのように表現した。俗世を離れ、木立から覗く海の彼方に向かう。
・・・
     第7章遠州流「綺麗さび」の宇宙 ヨリ

遠州の茶については何度か書いているが、「綺麗さび」が「プラチナの茶室」につながるものなのかは分からない。*1
今月の「LIVING design http://www.ozone.co.jp/WebX?13@@.336f070d」は「ローハスの知恵袋100*2特集だが、もう一つの特集が「愉しき、茶会へ。」と言うもの。
これは7月14日からの「OZONE夏の大茶会2005http://www.ozone.co.jp/WebX?13@209.JbX0acXX2NV.1@.330644bd」の序章と言った感じのものか。
■会 期:2005年7月14日(木)〜7月19日(火) ※会期中無休
時 間:10:30〜19:00
■会 場:リビングデザインセンターOZONEOZONE全館)、新宿パークタワー1F、B1F
トップの写真は、夏の大茶会に展示される予定の「プラチナ茶室」。「LIVING design」の小さな写真からのコピーなのでピンボケだが、雑誌の写真はクリアーに撮れているし、設計者のコメントもある。
小堀宗実家元の説明は、

茶の湯の伝統を守りつつ、現代の新しい技術と美意識で、非日常的な空間をつくることを目指した。

と言うことのようだが、建築家と家元の関係はどのようなものか気になるところだ。茶室に残るのは、「好んだ」茶匠の名前だけでその時の棟梁の名前は、歴史の中に名を残しているとも思えない。それから考えると、茶室のデザイナーは茶人であろう。
翻って、現代はどうだろうか?建築の世界で聞こえてくるのは、アルミの茶室*3、アクリルの茶室*4等々、茶人ではなく建築家やインテリアデザイナーのように思うが?勿論「中村外二」や「平田雅哉」などの棟梁の名前が、その茶室を好んだ茶人より前面に出る場合も稀に有るのだろうが。この「プラチナ茶室」は、当然小堀宗実家元の茶室として残るのだろう。
ところで、「LIVING design」の説明を読むと若干疑問の点もある。

柱や枠には檜が使われているものの、壁や天井には、茶室としては異例のアルミ板を使用。そして何より圧巻はプラチナである。
一枚一枚丁寧に貼り込み、使ったプラチナ箔は、およそ一万枚!気の遠くなるような緻密な作業を行ったのが、はせがわ美術工芸の熟練工。・・・

檜+アルミ板+プラチナ箔と3つの素材をつかったようだが、素材は2種類だけの方が良いのではないか。「檜+プラチナ」か「アルミ+プラチナ」であれば素材を対比させるか、同じ金属でまとめるかの方法が取れるので明快。3種類混ぜることで多分「アルミ」の位置があいまいなものになるような気がするが、実際のところはどうなのだろう?
それに、担当した建築家のコメントに、天井にアーチを使ったとあるが、「綺麗さび」のイメージは「モダンデザイン」に通じるイメージとして、直線による構成が「王道」のような気もするが、昨年の「大茶会」で「アアルト」の花器を水差しに使ったように、家元は曲線が好きなのかもしれない。まあ、実物を見ずに言葉だけであれこれ言うのは良くない!
現在、愛知万博に陳列されているらしいが、7月の「夏の大茶会」で見ることが出来るのを楽しみにしよう。(7月14日に見聞録http://d.hatena.ne.jp/udf/20050714
詳細な写真は「婦人画報」の7月号に掲載されている。家元がこの「プラチナ茶室」でお茶を点てているものだが、茶室そのものの写真も数多く掲載されているhttp://www.fujingaho.jp/fujingaho/mag/1224/04/

*1:利休が秀吉のためにプロデュースした「黄金の茶室」は有名で、レプリカが熱海の「MOA美術館」や銀座にある「仏壇の長谷川」のショールーム、金沢などにもあるらしいが、ある歴史学者の説では貼ってあるのは「金箔」と言うより、「金の板」と言った方が良いほど、厚く重量感のあったもではないかという話だが・・・。

*2:LOHAS」Lifestyles of Health And Susutainability

*3:キリン本社内、設計:高松伸http://www.takamatsu.co.jp/

*4:「空門」http://www.koomon.com/設計:高山不二夫http://www.takayamafujio.co.jp/