世田谷線 沿線散歩

udf2005-04-28

東急の広報誌「SAULS」の5月号。建築散歩でないのが残念なところだが、世田谷線沿線には2,3の建物を除いてほとんどこれと言った建物は無い。
もともと東急世田谷線は東急玉川線の支線だったものが、一般道路を走っていないこともあって生き残ったような感じがある。*1
スタートの三軒茶屋。「キャロットタワー」は全く面白みの無い建物で、何のためにあそこに超高層が必要なのか全くわからない建物。我が家の近くにある木造の建物は、唯一残っている「兵舎」らしいが中に入ったことは無い。
西太子堂・若林にも何も無い。次の松蔭神社には、前川國男の「世田谷区役所」。これは前川國男らしい打放の一見の価値がある建物だと思う。駅から区役所に向かう途中に、環境対応型のコーポラティブハウスがある。その横の路地を入ると、壁に小さな窓がちりばめられた魅力的な建物があるが、住宅なので内部は見ることが出来ない(設計者も分からない)。
世田谷には何も無く、次の上町には前川國男の「郷土資料館」がある。PC板を使ったシンプルな建物で、一級建築士の製図課題*2が「郷土資料館」だったので見に行ったが、かなり印象深かった。他にはボロ市が開かれる「代官屋敷」ぐらいか。
宮の坂には「宮の坂地区会館」。これは昭和62年にコンペで野沢正光氏が一等になったもの。象の富田玲子氏、竹山聖氏(アモルフ)、元倉真琴氏、宮脇檀氏などが参加しているが、野沢氏が勝った。現在はかなり汚れがひどく何とかして欲しいものだが・・・。
山下には何も無いが駅近くの人形焼が美味しい。歯医者の帰りによく餡が沢山入った人形焼を買って帰る。松原・下高井戸にも何も無い。それにしても建築文化には恵まれていない世田谷線だ。

*1:玉川線は三軒茶屋〜中里、新町〜二子玉川間は専用線路だがその他の部分は、現在のR246を自動車と一緒に走っていた。高校時代はその玉電に乗って通学していたが、その当時からかなり混んでいて、朝のラッシュ時は道路から乗り込んでくる人に押されて、身体が宙に浮くこともあった。新旧山手通り間はかなりな急坂で、時々登りきれないで電車がスリップしていたこともあった。

*2:池のある公園内に建つ郷土資料館で、ロケーションは鎌倉の近代美術館のような感じだった。中央に吹き抜けを造り、その周囲をギャラリーにして、大きなものは吹き抜けに、小さなものは吹き抜けの周りの回廊に展示するような計画にした。最後は事務部門の屋上に出てくる。屋上は屋外展示スペースにして、屋外展示を見ながら同時に池を眺められるカフェを屋上に作った。屋上からは避難をかねて池のほとりに降りられる外部階段を設置。事務部門の動線が長すぎるかと思ったが、無事合格した。世田谷郷土資料館と鎌倉近代美術館を見ていたおかげだったのだろう。なかなか楽しい課題だった。